新所朝市に出品いただいた農家さんたちの姿

本日初めての試み、「新所朝市(トライアル)」を開催しました。

地元産余剰野菜と台所をマッチングできたら、という理解されやすいシンプルな目的なのですが、各地でなかなか軌道に乗せられないこともよく理解できる中で、いかに継続的にできるか、チャレンジです。

今回は、熱意ある地元の農家さんが仲間の農家さんを一緒に回ってくれて12軒からの出品をいただきました。

野菜のない時期ということで店頭に並んだのは、売り上げ順に、エンドウ、柑橘類、フキ、ジャガイモ、キャベツ、サツマイモ、花、タマネギ、というところです。
新所朝市に出品いただいた農家さんたちの姿

その他に、専業花農家のグループである「新所あぐりクラブ」も、素人の野菜に交じってプロの花を出店してくれて、花を添えてくれました。
新所朝市に出品いただいた農家さんたちの姿

出品をお願いしに行きながら、私より一回り~二回り先輩の年代の農家さんの姿を、ひがみながら、さらによく知る機会になりました。

新所のことを説明するときによく語るパターンですが、ここは高度成長期に大規模農地整備をすると同時に製造業の立地が進んだ地域のため、サラリーマンとして現金収入を得ながら、本気の農業収入も得るという幸せな時代を過ごしてきております。

先輩方は相当忙しかったとは思いますが、現役時代には、土日には親を手伝い農家を守り、奥さんは旦那以上に農業のプロになり、勤め上げた今は、自然と夫婦で専業農家的に過ごしております。
新所の農地は製造業OBが支えているのが現状です。

もちろん、年金もらいながらの定年後の農業なので、楽しみ半分で出荷してお小遣いを得る、ということでよいわけです。

重要なのは、子供のころから親について農業をやっているので、ノウハウが半端ないということと、同年代にそういう仲間が多いので、競いながら、時にはお互いに自分のところにない作物を融通し合ったり、グループを作ったりしながら、同様の専門的なベースを持つコミュニティを形成していることです。

夫婦でそれぞれの流儀があるので、畑を分けて競い合っている姿もあります。
そんな場合でも、たいがい収穫物を扱う実権は奥さんが握っているように見えます。

先輩農家さんたちは、それぞれが畑の場所を知っていて、どこに行けば会えるかだいたいつかんでいます。
家に行くより、畑に行く方が、オープンスペースなので声をかけやすいし、
特に女性はあちらこちらで立ち話をしています。

相当高齢になっても、また連れ合いに先立たれても、セニアカーに乗って畑に出かけてくる方がいます。
栽培技術には一目置かれているので、畑にいるといろいろ聞きに来る人もいます。
まさに居場所であり生きがいと感じます。

翻って一回り~二回り下の我々の世代はというと、農家の息子といえども、親が既にサラリーマンなので、子供のころから農業をしていません。
正規社員は土日含め生活はほぼ会社に捧げています。
おのずと農地が遠ざかります。
年金はあてにできない上に、ノウハウがないので、農業生産で出荷してお小遣いを得る、というような道もありません。
生活のために、また会社に乞われるので勤めを続けます。
地域に住んでいても、共通言語がないので、コミュニティができづらくなります。
不良資産のお守りをしながら定年後にここに住む意味も特に感じられない現状があります。

新所は、老人クラブ、婦人会、がまだ健在です。
今回の朝市は、老人クラブの総会にぶつけて、当日100人近く区民広場を訪れるから、というのが、実績のない店主でも、まあ大事な作物を出店してみるか、という理由になりました。
たぶん、今の現役世代は、老人クラブとか婦人会ってなんであるの?と思っています。

現実は先輩世代を羨ましがっていても仕方ないので、自分の年代でできる幸せの形を模索したいです。
道は遠いですが、朝市もその一歩だと思っています。

農業地帯はコミュニティがないとやっていけないのでおのずとコミュニティがあります。
一方で新規就農も、コミュニティがあるところでないと難しいという現実がありますが、新規就農者はたいてい農村地帯の昔ながらのコミュニティではなく、新しいコミュニティに属します。

先輩方の定年後の幸せな過ごし方をイメージしながら、地縁に頼らない新しいコミュニティは、自分で作らないとどこにもないのだと実感した農家回りでした。





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